万年筆のシマー&シーンインク おすすめガイド
手書きの文字がキラキラと輝いたり、角度を変えると思いがけない色が浮かび上がったり。そんな驚きを与えてくれるのが、シマーインクとシーンインクです。金属粒子がきらめくシマーインク、光の加減で鮮やかな色変化を見せるシーンインク――どちらも日常の筆記を特別な体験に変えてくれます。このガイドでは、シマーとシーンの違いをわかりやすく解説し、おすすめインクの紹介から、使いこなしのコツまでまとめました。
シマーとシーン:何が違うの?
この2つは混同されがちですが、実はまったく異なる現象です。違いを知っておくと、自分の求める効果にぴったりのインクを選びやすくなります。
シマーインクには、微細な金属粒子やマイカ(雲母)粒子が含まれています。これらの粒子が紙の表面に残り、どの角度からでも光を反射してキラキラと輝きます。ゴールドやシルバーなどの粒子が濃いベースカラーの上で際立つと、特にドラマチックな効果に。いわば、文字にラメを散りばめたような仕上がりです。
シーンは染料そのものが生み出す光学現象で、粒子は一切含まれていません。彩度の高い染料インクが滑らかな紙の上でたっぷりと溜まると、表面の染料がベースとは別の色を反射します。たとえば、ダークブルーのインクから鮮やかなレッドやコッパーの輝きが現れることがあります。シーンは紙を傾けたときに見える角度依存の現象で、滑らかで吸収性の低い紙でないと現れません。何かを添加しているわけではなく、染料の濃さが生み出す自然な現象です。
おすすめシマーインク
シマーインクはここ10年ほどで一気に人気が広がりました。ベースカラーと粒子の組み合わせがそれぞれ異なる、おすすめのシマーインクを紹介します。
Diamine Enchanted Ocean
深いティールブルーにゴールドのシマー粒子がたっぷり入った、鮮やかなコントラストが魅力のインクです。Diamineのシマーインクシリーズの中でも特に人気が高く、暗い海のようなブルーに浮かぶゴールドのラメは、まるで水面に映る夜空のよう。シマーインクとしてはフローも良く、価格も手頃です。
Diamine Golden Sands
温かみのあるハニーゴールドのベースに、同系色のゴールドシマーがたっぷり。粒子がベースカラーと自然に溶け合い、紙の上で溶けた金のような輝きを見せてくれます。封筒の宛名書きやグリーティングカード、カリグラフィー作品に特に人気の一本です。
Diamine Arctic Blue
明るく澄んだアイシーブルーにシルバーのシマー粒子を合わせた、凍てつく冬空を思わせるインクです。クールなブルーにシルバーのラメが重なり、幻想的で透明感のある仕上がりに。明るく彩度の高いベースカラーのおかげで、シマーインクの中でも文字が読みやすいのもポイントです。
J. Herbin 1670 Anniversary (Rouge Hematite)
現代のシマーインクブームに火をつけた伝説的な一本。J. Herbinの創業340周年を記念して発売されたRouge Hematiteは、深いクリムゾンレッドにゴールド粒子が入った贅沢なインクです。ダークレッドの上で輝くゴールドシマーは、ため息が出るほどドラマチック。1670シリーズはその後、Emerald of Chivor(グリーン+ゴールド)やBleu Ocean(ブルー+ゴールド)にも展開されています。
Robert Oster Fire & Ice
クールなブルーのベースにコッパーレッドのシマー粒子を合わせた、名前どおり「火と氷」の二面性を持つインクです。冷たいブルーの中で温かみのある金属粒子がきらめき、見るたびに表情が変わります。Robert Osterは滑らかな書き心地に定評があり、このインクもその期待を裏切りません。
Colorverse Supernova
深いインディゴパープルにゴールドとシルバーのシマー粒子が混ざり合う、その名のとおり宇宙的なインクです。Colorverseは宇宙をテーマにしたブランドで、Supernovaは超新星の爆発的な輝きをインクで表現しています。パープルのベースと金属粒子のコントラストが見事で、一筆ごとに星のような輝きが生まれます。
おすすめシーンインク
シーンインクの魅力は、粒子ではなく染料の特性が生み出す色変化にあります。紙との相性、ペンのウェット具合、インクの彩度――条件が揃ったときに現れる色の変化は息をのむ美しさです。ぜひ試していただきたいシーンインクをご紹介します。
Organics Studio Nitrogen
シーンインクの王様といえばこれ。Nitrogenは高彩度のダークブルーで、目を疑うほど強烈な赤銅色のシーンが出ます。Tomoe River紙にウェットなペンで書くと、シーンがベースカラーを覆い尽くすほど。ただし彩度が極めて高いため洗浄に手間がかかり、素材を染めてしまうこともあるので要注意です。それでも、シーンを追い求める人にとっては唯一無二の存在です。
Sailor Yama-dori
Sailorの四季彩シリーズから生まれた美しいティールブルーで、豊かなマゼンタレッドのシーンが現れます。Yama-dori(山鳥)はNitrogenよりも日常使いしやすく、フローも滑らかで扱いやすいインクです。それほど滑らかでない紙でもシーンが確認できるのが嬉しいところ。ティールからマゼンタへの色変化は、万年筆インクの世界でも屈指の美しさです。
Diamine Majestic Blue
深みのある高彩度ブルーで、滑らかな紙の上では鮮やかな赤いシーンが現れます。Diamineは手頃で入手しやすいので、シーンインク入門にぴったり。Tomoe River紙ではシーンが強烈に出ますが、普通のノート紙でもおとなしく使える優等生です。普段は落ち着いたブルーなのに、良い紙に書くと華やかな一面を見せてくれる――そんな二面性が魅力のインクです。
Pilot Iroshizuku Kon-peki
シーンインクとして売られているわけではありませんが、良い紙に書くと控えめながら美しい赤いシーンが顔を出す、大人気のセルリアンブルーです。世界中で愛されている理由は、完璧な書き心地と美しい色、そしてふとした瞬間に見えるシーンという嬉しいおまけ。実用性と遊び心を兼ね備えた、万能な一本です。
Diamine Oxblood
深みのある赤茶色のインクで、繊細なグリーンのシーンが現れます。ブルー系インクの赤いシーンとは違った個性があり、新鮮な驚きを与えてくれます。グリーンのシーンは滑らかな紙のインク溜まり部分で最もよく見えます。シーンを抜きにしても、品のあるダークレッドは日常使いや署名にぴったりです。
シマー&シーンインクを使いこなすコツ
紙との相性
シマーもシーンも、紙選びで仕上がりが大きく変わります。効果を最大限に引き出すには滑らかで吸収性の低い紙が欠かせません。シーンを楽しむなら、Tomoe River紙が定番中の定番。超滑らかな表面にインクがたっぷり溜まることで、美しい色の反射が生まれます。Graphilo、Cosmo Air Light、Rhodia、Clairefontaineなど、万年筆向けの紙も好相性です。一般的なコピー用紙のような吸収性の高い紙では、シマー粒子は見えますが、染料が繊維に吸い込まれてしまうためシーンはほとんど現れません。
ペン先の太さが重要
シマーもシーンも、中字(M)以上の太めのペン先で最も効果が出ます。太いペン先はインクをたっぷり紙に乗せるため、シマー粒子の量が増え、シーンが現れるための染料層も厚くなります。細字(F)や極細(EF)のペン先だと、粒子がペン先で詰まりやすく、インク量も少ないためシーンも出にくくなります。シマーやシーンの視覚効果を楽しみたいなら、中字以上のペン先がおすすめです。
ペンのメンテナンス
シマーインクは普通のインクよりもお手入れに気を配る必要があります。金属粒子がペン芯やコンバーターに沈殿しやすいため、使う前にペンを軽く振って粒子を行き渡らせましょう。インクを入れ替えるときは水でしっかり洗浄してください。一方、シーンインクは普通の染料インクなので特別なお手入れは不要です。ただし、Organics Studio Nitrogenのような高彩度のインクは、完全に洗い流すまで何度かすすぐ必要があるかもしれません。
ヒント: シマーインクには専用のペンを一本決めておくのがおすすめです。洗浄後にペン芯に粒子が残る心配がなくなり、インクを入れっぱなしにしてすぐ使えます。太字でウェットなペン先のピストン式やコンバーター式が理想的。TWSBI Ecoの太字は手頃な価格でシマーインク用に人気の定番です。
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